ストリングス音源「Cinematic Studio Strings」レビュー

KONTAKT専用ストリングス音源「Cinematic Studio Strings」(CSS)のレビューです。

CSSは、Cinematic Studios Seriesの第一弾として2016年6月にリリースされました。Cinematic Studios Seriesはストリングス音源「Cinematic Strings 2」(CS2)を開発したAlex Wallbankによるもので、CSSはCS2を引き継いだストリングス音源と言えます。このシリーズはCSSの他に、ピアノ音源「Cinematic Studios Piano」(CSP)もリリースされており、また、金管、木管、ソロストリングス、パーカッションのリリースを控えています。

CSS

概要

  • 値段は$399
  • 1stバイオリン、2ndバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの5つの弦楽器を収録。
  • Kontakt専用のライブラリ。Kontaktとその無料版のKontakt Playerの両方に対応。
  • Close、Main、Roomの3種類マイクと、それらをミックスさせた少ないリソースのMixサンプル。
  • 10/7/7/6/5の中編成をスタジオで録音。

奏法

  • Legato(Legato RepetionとPortamentを含む)
  • Spiccato
  • Staccatissimo
  • Staccato
  • Sforzando
  • Pizzicato(Bartok Snapsを含む)
  • Col Legno
  • Harmonics
  • Tremolo
  • Trills(半音と全音)
  • Measured Tremolo(BPMに同期、または任意)
  • Marcato / Runs
  • Con Sordino Emulation(全奏法で可能)

パッチ

  • CSS 1st Violins
  • CSS 2nd Violins
  • CSS Violas
  • CSS Cellos
  • CSS Basses
  • CSS Full Ensemble
  • CSS Lite Ensemble (Sustain,Staccato,Pizzicato)

+それらのClassic Legatoパッチ(レガートスピード変更の機能がない)

特徴

ストリングス音源にしては比較的リーズナブルな価格で、非常に素晴らしい音。音の傾向としては、ハイが控えめで暗めの音色です。空気感があり、リバーブをかけずとも美しい演奏が可能です。デモ楽曲にはリバーブやEQを使用していないそうです。

アーティキュレーションはキースイッチで切り替えます(CCでも切り替え可能)。他のストリングス音源でもよくある操作なので、手早く使用することができるでしょう。GUIもシンプルで見やすく、直感的で扱いやすいです。

使用の際のポイント

ダイナミクスはモジュレーション(CC1)

ダイナミクスはモジュレーション(CC1)で扱います。購入して早速演奏してみようとMIDIキーボードを押すが音が鳴らない…そのような場合は、もしかしたらモジュレーションが0になっているのかもしれません。

Alt+クリックでアーティキュレーションをメモリから削除

GUIのアーティキュレーションのボタンをAltキーを押しながらクリックすることで、そのアーティキュレーションをメモリから削除することができます。使っていないアーティキュレーションがある場合、この機能でメモリから削除しておけばメモリ節約の節約が可能です。復活させたい場合は、再びクリックすることで読み込ませることができます。

ベロシティでレガートスピードを切り替える

ベロシティでレガートスピードを切り替えることができます。

  • 0-64:Slow
  • 65-100:Medium
  • 101-127:Fast

ポルタメントはベロシティ20以下

レガートでのポルタメントはノートのベロシティを20以下にすることで可能です。またこの「20」という数値は、右上の歯車マークのボタンからPortament Velocityの数値を変えることで変更が可能です。

トリルは2つのキーを同時押し

トリルは半音、または全音の2つのキーを同時に押すことで演奏することができます。単音で押しても音は鳴りません。

アーティキュレーションの細かい切り替え

Staccato

  • Sfz
  • Staccato
  • Staccatissimo
  • Spiccato

Pizzicato

  • Col Legno
  • Bartok Snap
  • Pizzicato

これらのアーティキュレーションの切り替えはモジュレーション(CC1)、もしくはキースイッチのベロシティで切り替えます。

トラックディレイは-60ms

トラックディレイで60ms速めることで(つまり、-60msと設定)、マルカートやスタッカートなどの遅延がなくなり、テンポとぴったりに演奏できます。しかし、レガートはさらに遅延するので調整が必要です。

その他のポイント

デモ楽曲のMIDIファイルをダウンロード

YouTubeのIntroducingArticulation WalkthroughTechnical WalkthroughLegato IntroductionCSPのIntroducingの各動画の動画説明欄からAlexのデモ楽曲のMIDIファイルをダウンロードできます。アレンジやMIDIコントロールのプログラミングに非常に参考になります。音源と同じミックスにする設定内容が書かれているテキストファイルも付属しています。EQやリバーブは使われておらず3つのマイクの調節のみです。

また、CSSの購入を検討している方は、手持ちの音源で鳴らしてみて比較してみるのも良いかもしれません。実際、海外のフォーラムではBerlin StringsやHollywood Stringsなどとの比較音源が投稿されています。

購入を考える際に参考にすべきリンク

VI Control Forum

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他のストリングス音源との比較音源を聴くことができます。

YouTube

動画は操作性や音をより知ることができます。海外のコンポーザーさんたちが有用な動画を投稿しています。

おわりに

高品質かつ扱いやすく、購入してとても満足しています。本格的なストリングス音源のデビューとしてもちろんおすすめですし、海外のオーケストラ・シネマティック系のコンポーザーさんたちにも非常に評判が良いので、すでにストリングス音源を複数所持しているような方も満足できるストリングス音源ではないでしょうか。

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