Orchestral Tools(OT)のKontakt専用オーケストラ音源「Berlin Orchestra Inspire」のレビューです。
概要
- 価格 €399
- 容量 18GB
- Kontakt Player、およびフルバージョンのKontaktで動作
- Strings、Brass、Woodwinds、Percussion、Harp、Pianoのアンサンブルやソロが収録
- バランスのとれたMix Mic Position(1マイクポジション)
- モバイルやライトなシステムでスケッチや速書きに適した設計
- Teldex Scoring Stageで収録
- 24Bit / 48KHz
- CAPSULEエンジン
- OTストアで使える合計€150のバウチャーが付属
収録内容
以下のインストゥルメントの、Multi Articulationsパッチ(奏法をキースイッチ等で切り替える)とSingle Articulationsパッチ(奏法別パッチ)が収録。
Full Orchstra
- Full Orchstra: Sustains, Staccatissimo (5RRs), SFX (5RRs)
Strings
- Strings Whole Ensemble: Sus Imm, Sus Soft, Spiccato (5RRs), Pizzicato (3RRs), Tremolo
- First Chairs Whole Ensemble: Sustains, Spiccato (5RRs)
- High Strings 8va: Legato, Sustains, Spiccato (5RRs)
- Low Strings 8va: Legato, Sustains, Spiccato (5RRs), Pizzicato (5RRs)
- Violins I + II: Legato, Sustains, Spiccato (5RRs)
Brass
- Brass Whole Ensemble: Sus Imm, Sus Soft, Spiccato (5RRs), Marcato (2RRs)
- Brass Muted Whole Ensemble: Sustains, Staccatissimo (5RRs)
- Trumpets & Horns 8va: Legato, Sustains, Spiccato (3RRs), Marcato (2RRs)
- Trombones & Tuba 8va: Sustains, Staccatissimo (3RRs), Marcato (2RRs)
- Solo Horn: Legato, Sustains, Spiccato (3RRs)
- Solo Trumpet: Legato, Sustains Without Vib, Sustains Romantic Vib, Staccato (3RRs)
Woodwinds
- Woodwinds Whole Ensemble: Sustains, Staccatissimo (5RRs), Trills HT, Trills WT
- Flutes & Clarinets 8va: Legato, Sustains Without Vib, Sustains Romantic Vib, Staccatissimo (3RRs), Trills HT, Trills WT
- Bassoons & Clarinets 8va: Legato, Sustains, Staccato (3RRs)
- Solo Flute: Legato, Sustains, Staccatissimo (3RRs)
- Solo Clarinet: Legato, Sustains, Staccatissimo (3RRs)
Percussion
- Percussion Essentials (3RRs)
- Marimba & Xylophone (3RRs)
- Glockenspiel (3RRs)
- Timpani (5RRs)
- Timpani Rolls
Harp
- Harp
Piano
- Steinway D
付属バウチャー
Inspireには、OTストアで使用できる2つのバウチャーが付属します。
- €50バウチャー(どんな購入にも使用できる)
- €100バウチャー(€600以上の購入に使用できる)
これらのバウチャーは同じ購入で使用することはできません。
特徴
音色
Orchestral Toolsの主要オーケストラ音源シリーズ、Berlin Seriesをベースに制作されているため、非常に美しい音です。OTが制作に協力したSteinbergの総合オーケストラ音源「Iconica Sections & Players」より、音は高品質な印象を受けます。
マイクポジションは「MIX」1つのみ。製品ページに書いてある通り、ウェットすぎず、ドライすぎず、丁度いい距離感に感じます。現代的なシネマティックサウンドより、伝統的なオーケストラスタイルに適しています。
バランス
ライブラリ全体がバランシングされているため、フェーダーや距離感の調節をする必要がなく、非常に制作がやりやすいです。全パッチを読み込んでしまえば、そのままで使いやすいテンプレートになります。CC1とベロシティのみで、素早く制作を進めることが可能です。
内容
内容はスケッチ用途としては十分だと思います。
パッチ数が少なくまとまっているので、やはりしっかりオーケストラ楽曲として仕上げるなら、楽器ごとのパッチや奏法などの不足は感じます。制作ジャンルによると思いますが、私の場合、PiccoloやOboe、Horns a4、Trumpets a3、Harp Gliss、Tubular Bells、Percussion Rolls(Snare、Triangle、Suspended Cymbalなど)、StringsやWoodwindsのRunsあたりが制作してみて足りないと感じました。
Berlin SeriesのBSTやBWWなどの個々のライブラリはメモリ使用量がかなり大きいので、Inspireベースで、足りない部分をBerlin Seriesのライブラリで補完するようなテンプレートの作り方も良いかもしれません。
Inspireのメモリ使用量が少ない点は強みです。
資料
公式動画
Trailer
Screencast
パッチごとの音を聞くことができます。
DAW Cast
Trailer Music Excerpt
Trailerの動画で使用されている楽曲の制作の様子を映した動画です。Inspireがいかに速書きに適したライブラリであるかがわかると思います。
VI-Control スレッド
デモバージョン
MusicTechでデモバージョン(Full Orchestra Staccatissimoパッチ)をダウンロードできます。
おわりに
総合・インスタント系のオーケストラライブラリの中でも、特に伝統的なスタイルで優れた音源だと感じます。また、フェーダーや距離感の調整の手間を省き、よりクリエイティブな作業に集中できる、良いインスピレーションツールでもあります。スケッチにはもちろんのこと、速書きやオーケストラテンプレート構築の出発点としても最適です。