Spitfire AudioのKontakt専用ストリングス音源「Spitfire Chamber Strings」(SCS)のレビューです。SCSは、かつて評判の高かったBML Sableシリーズの最も一般的に使用されるマイクポジション(Close, Tree, Ambient)をひとつのパッケージに統合し、リニューアルしたチェンバーストリングス音源です。
概要
- 価格:$699
- 容量:80.9GB
- Kontakt専用音源(無料のKontakt Playerに対応)
- 244のアーティキュレーション (38 shorts, 53 longs, 19 FX, 45 legato)
- 1st Violins (4), 2nd Violins (3), Violas (3), Cellos (3), Basses (3)
- 3つのマイクポジション (Close, Tree, Ambient)
- ロンドンのAir Studios Lyndhurst Hallで収録
- NKS対応
アーティキュレーション
Spitfire Chamber Strings – Spitfire Audioより
Professionalバージョン
- 価格:$999
- 容量:235.2GB
- 通常バージョンに加え、4つの追加マイクポジション:Close Ribbon (Cr), close Stereo Pair (St), Gallery (G), Outrigger (O)
- 3種類のJake Jacksonによるステレオミックス:Fine (F), Medium (M), Broad (B)
特徴
サウンド
1st Violins (4), 2nd Violins (3), Violas (3), Cellos (3), Basses (3)、計16人の中編成ストリングスアンサンブルで、Air Studios Lyndhurst Hall特有の響きを持ったSpitfire Audioらしいウェットで美しいサウンドです。リバーブやイコライザ等を使用せずとも、即戦力の美しいサウンドが得られます。また、同じLyndhurst Hallで収録されたSpitfire Audioの他の音源とは非常に馴染みが良いです。
アーティキュレーション
多彩なアーティキュレーションが収録されている点もこのライブラリの大きな特徴です。主要なアーティキュレーションからFlautandoやSul Pont、Staccato Dig、Disco fallなど様々な表現に対応できるアーティキュレーションが揃っています。特にSpitfire Audioのストリングスのテクスチャ系アーティキュレーションは空気感があって素晴らしいです。
GUI
Spitfire Audioユーザーには馴染み深く、Spitfire Audioの音源は初めてという方でも簡単に使用できる直感的なGUIです。また、Spitfire AudioのGUIは高級感があり、より所有欲が満たせる点も魅力の一つです。
Performance Legato
私が最も感動したのが、Performance Legatoパッチです。Performance Legatoは、ひとつのパッチ、キースイッチ奏法切り替えなしでスタッカート、レガート、ラン、ポルタメントを演奏できるプレイアビリティの高いパッチです。これを使用することで、打ち込みが大変楽になります。
ポップス用途
SCSはポップスでの使用にも優れています。ポップス用途で優れでいるLASS(LA Scoring Strings)に比べて、駆け上がりなどの速いフレーズやガシガシ刻むように対旋律を動かすのに向いています。よりストリングスの対旋律を動かしたい人には最適な音源です。
またポップス用途でもPerformance Legatoパッチが非常に役に立ちます。私は以下の記事のようなPerformance Legatoパッチを主体としたトラックプリセットを作成し使用しています。
デメリットとしては、クローズマイクでもそこそこ距離感がある点が挙げられます。LASSの方が日本のスタジオ録りの音色に近い印象を受けます。
参考に私がストリングスプログラミングの仕事でSCSを使用したポップス楽曲の動画を以下に貼っております。
使い方
以下の記事にまとめています。
おわりに
オーケストラ・シネマティック用途でもポップス用途でも大変優れているストリングス音源です。他のストリングス音源より高価ですが、その分非常に役に立つ音源で、あなたの制作でも即戦力になってくれることでしょう。